神戸市発達障害者西部相談窓口 相談員の芳村と申します。
コロナ禍の2020年もいよいよ残すところあとわずかとなりました。
大学生の皆様もオンライン授業など例年とは違う大学生活への対応で大変な1年だったことと思います。
さて、社会福祉法人すいせいでは大学生を対象とした
【”SST”でコミュニケーションに自信を持とう!】
というプログラムを実施しています。
このプログラムは、社会福祉法人すいせいが神戸市から委託を受けて、2017年(平成29年)から実施している事業で、コミュニケーションに課題を抱える大学生の方を対象として実施しております。
例年、夏季休暇と春季休暇期間中に学生の皆様とスタッフで、グループワークを通したコミュニケーションの練習会を行っていました。
しかし2020年3月より新型コロナウイルス感染拡大のため、一か所に集まっての実施自体も難しい状況となってしまいました。
本年度の夏季休暇期間をどのような形で実施するか検討を重ね、Web会議サービスZoomを使ったオンラインでのSSTを試験的に実施いたしました。
実施から期間が空いてしまいましたが、今回はその内容について簡単にご紹介したいと思います。
そもそもSSTって?どんなプログラム?
- SSTって?
- SSTとはソーシャルスキルトレーニング(Social Skills Training)の略です。
人との関係をうまくやる問題解決のためのスキルを身につけることが目的です。 - どんな人が参加しているの?
- コミュニケーションに苦手意識を持っている大学生や大学院生を対象にしています。
同世代の人の体験談から学ぶこともできます。 - どんなことをするの?
- 他の人とうまく付き合っていくために必要なルールや、考え方について学びます。
よいコミュニケーションの例を見ながら、実際にやってみることで対人スキルのコツを学ぶことができます。
ZoomでSSTって何するの?
1:You Tubeでテーマの動画を視聴する
日常的なコミュニケーションの場面ごとに切り分けた動画を、参加者の方々にYou Tubeを利用して共有します。
・相談する場面
・家族の会話場面
・断る場面
……など、コミュニケーションが苦手な方にとって、気になる場面ではないでしょうか。
このような動画を、ひとつずつ参加者全員で一緒に視聴します。
【相手の話を聞く場面】動画を例に、内容を少しご紹介していきましょう。
コミュニケーションでよくある場面を、すいせいの職員が演じています。
相手の話を聞く・場面①
右側の男性が、左側の女性に話しかけています。
女性に注目してください。
スマホをいじりながら、片手間で聞いている感じですね……
これだと話をしている側としては嫌な気持ちになるかもしれませんね。
相手の話を聞く・場面②
今度はどうでしょうか。
左側の女性はスマホを置いて、相手の方向に体を向けて、視線も男性の顔を見ていますね。
話している側としても、「話をちゃんと聞いてくれている」と感じて気持ちとしても嬉しく感じるかもしれませんね。
2:動画を見て気づいたことをZoomで話し合う
参加者全員で動画を視聴した後、場面ごとに「良かった点」「問題だった点」など気づいたことを発表していただき、みんなで共有していきます。
発表から一部を抜粋してご紹介します。
相手の話を聞く・場面①(スマホを見ながら話を聞いているとき)
●どんな点が良かった?
・話だけは聞いていたところ。
・相槌をしていた。
●どんな点が問題だった?
・お互い視線が合っていないところ。
・相手の話をちゃんと聞く姿勢をしていないところ。
・受け手がスマホばっかり見ていて、話し手の話を全く聞いていなかった。
相手の話を聞く・場面②(スマホを置き相手の方を向いて話を聞いているとき)
●どんな点が良かった?
・人の目を見て話しているところ。
・スマホを置いたり、相槌したり、しっかり相手の話を聞くことができていた。
・相手の気持ちをよく考えた返事をしている。
・共感の言葉を言っていた。
●どんな点が問題だった?
・しいて言うなら、スマホをすぐに置いてほしかった。
いかかでしょうか。
このときは参加者の方々からたくさんの気づきを教えていただきました!
このように、このプログラムでは、同年代のグループで、みんなで意見を出し合いながらどのようなコミュニケーションが良いかを話し合い、実際に生活の中で試していただきました。
次回はいつ開催されるの?
まだ具体的な日時は未定ですが、2021年2月~3月にかけてもZoomを使ったSSTの実施を予定しております。
動画内容やコミュニケーションの場面などは、どんどんブラッシュアップしていき、より参加される大学生の方々の生活にとって、役立つものを提供できればと考えております。
また2021年1月ごろに参加者募集のご案内をさせていただきますので、興味を持たれた方はぜひご参加ください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
※本プログラムは「神戸市在住、または神戸市内の大学に在学している大学生の方」が対象者となります。
※当該事業は2020年度で受託を終了しました。