こんにちは!神戸市発達障害者西部相談窓口の末廣でございます。
近年、メディアでも多く取り上げられるようになった「発達障害/自閉症スペクトラム」ですが、障害の種類を明確に分けて診断することは大変難しいとされています。
なぜなら、障害ごとの特徴が少しずつ重なりあっている場合も多く、年齢や環境、経験などによって、特徴的とされる目立つ症状が変化してくる場合があるからです。
また、場面によっては色濃く出る特性も、安心できる場面では特性が見えにくいなど、どこまでが障害で、どこからが健常なのか、切れ目なく同一線上に連続体となっているという捉え方をしています。
ゆえに、本人の困り感が中々理解されにくいと言われるのも発達障害の特徴です。
今日は、そんな中でも、あまり聞きなれないディスレクシアについて、ご紹介したいと思います。
【LD障害~発達性ディスレクシア】
ディスレクシアとは、発達障害の一つである学習障害(LD)の中核症状です。
会話/話ことばの理解や表現は普通にでき、知的にも標準域にありながら、文字情報の処理/読み書きの能力に著しい困難を持つ症状をいいます。
充分な教育の機会があり、視覚・聴覚の器官に異常がないにも関わらず症状が現れた場合に称します。
つまり、読み書きの困難がある。しかし、読み書きは困難でも読解はできるというものです。
【読むためには】
①文字を認識
↓
②音と結びつける
↓
③文字のつながりで単語として認識
↓
理解する
この流れがスムーズにいかないと、たどたどしい・読み違える・音読すると意味が分からないという症状がでます。
【書くためには】
①耳から入った音を文字に変換
↓
②漢字を想起して
↓
③指先に「書け」と指令して
↓
書ける
書く能力には、書き写す・場所を移す・考えを書き記す・言われたことを書く…ということがありますが、中でも言われたことを書くことが一番大変なのです。
ここで、実際に文字を見た時、ディスレクシアの方たちには、どのような見え方をするのか一例を見てみましょう。
≪通常の見え方≫
≪ディスレクシアの感じ方≫
(引用:認定NPO法人 EDGE(エッジ)ディスレクシアって?)
◆文字が躍る、動く、ねじれることで、どこにどの文字があるかわからない。
◆書き写そうとすると、どの文字のどこを写していたかわからなくなってしまう。
◆クラスのざわついた中で音が拾えないので読み取りができない…等
こんな状態が、周囲を見渡しても自分だけとなると、焦燥感、フラストレーション、あきらめ、イライラが募っていきます。ましてや、これが1限目~6限目まで続くとなるとどんな気持ちになるでしょうか。
本人は真面目に努力しているつもりでも、結果にはでないとなると、周囲からは怠けていると判断されることもあるでしょう。
こうなると、意欲が萎え、無気力に陥りやすくなり、学校に行くことも疲れてしまうのは否めないです。
こうしたディスレクシアの障害をもつ方々は、日本では、人口の5%~8%、欧米では10%~15%いると言われています。
ただ、それが読み書きの障害かどうかについては、正確には小学校4年生くらいにならないとはっきりしないことがあり、中学校での英語の読み書きが入ってくると、途端に困難を示す場合が生じてくると言われています。
これらの検査については、WISC、K-ABCなどの心理検査でも傾向と対応方法がわかります。
【大事なこと】
障害は生まれ持った特性ですが、適切な関りや環境が整えば強みに変わり、経験を積みながら発達します!
先ずは、自分自身の特性について正しく理解し、上手に付き合っていくこと、周囲の方々にも理解を促し、自分自身が過ごしやすい環境を周囲の方々と共に整えていくことが大切ですね。
周囲の人が普通にできているのに、自分だけができないことについては、つい自分の努力不足と考えがちで、困っていることを上手く説明できないことも多いと思います。
神戸市発達障害者西部相談窓口では、どんなことに困っているのかを整理して、どんな方法や対策ができるかを一緒に考えていくお手伝いができますので、一人で抱え込まないで一度ご相談ください。
参考情報:認定NPO法人 EDGE(エッジ)
認定NPO法人EDGE(エッジ)は、発達性ディスレクシアの正しい認識の普及と認定・教育的支援を行う民間団体です。