3月に神戸市職員の方から急に「厚労省から財務省の人とsuiseiに視察しに行きたいと言われてるけど大丈夫?」という趣旨の連絡がありました。
最初は財務省の方が直々に来られるとは何事かと漠然と震え上がりました。これまでも厚労省の方も文科省の方の時も震えましたが、財務省はさらに遠くの存在だと思っていました。
「わざわざに何をしに来るのだろう?悪いことはしてないし?何かな?」と考えていましたが、思い当たることが1月にありました。
それは生活困窮の研修会で、職員の中川が行った「超短時間就労」という新しい働き方についての発表でした。国会議員や厚労省の方に、障がい者支援を中心とする社会福祉法人が、生活困窮者へのアプローチをしている点や、東大の先端科学技術センターと手を組んでの活動をお話しました。
もしかしたらそこを見にきてくれるのでは。そうであれば震え上がっている場合ではなく、せっかくの機会だから現場で感じている話を伝えようと、不安と期待を胸に準備をしました。
前日まで視察の主旨はハッキリはしていませんでした。
神戸市の方とも打ち合わせをあまりできず、「財務省の方は障がい福祉事業所を見る機会があまりないので、一般的な取り組みの様子の見学から、suiseiが取り組んでいることなど様々なプロジェクトを話してほしい」というオーダーだったので、生活困窮事業だけでなく、幅広く見ていただくプランにして幾つかの事業所の見学を軸にしました。
3月14日の当日は財務省の方3名・厚労省の方3名・神戸市の方3名がお越しになり、suiseiが今行っている
①通所事業:居場所から就労訓練
②センター事業:相談
③生活困窮支援活動
④大学生支援
⑤地域貢献事業
⑥企業への開拓
⑦その他(LGBTなど)
といった業務を、地域や福祉でどんな活動をしているかを伝えるいい機会として、短い時間ですがお話ししました。
見学では就労移行事業所を中心に見ていただきました。JOBridge とCASTを車で移動しながら見ていただいて、どの様な方が利用されているか、どの様なことを法人として重視してきたか、実際にどんな事を提供しているのか、そしてどんな実績を出しているかなどを説明させていただきました。
具体的な支援環境や方法など色々と関心を持って見ていただけたのではないかと思います。
最後に見学の感想と質疑応答の時間を取って話をしました。
その中で財務省の方が厚労省の方に「suiseiさんみたいに障がいとか困窮者とかで線を引かずにやっていくのも必要なんじゃないかな」と言っていただいたのを聞いて、内心ものすごく感動しました。
私自身ソーシャルワーカーとして「これまでの理事長、職員やメンバーさんと創ってきた価値観、姿勢、知識や仕組みなどのsuiseiのノウハウがあれば、障がい者だけでなく、生き辛い働き辛い人に心身の体調管理方法や、人との関わり方、ジョブマッチングなどの価値を社会に出せるはず」と仮説を立てそれを信じてやってきました。
想いを持って10年以上かかりましたが、やっと社会の中心部にそのマインドが届き出したと感じる瞬間でした。
これから何か今の活動を後押しする様な制度など、実際に変化があればありがたいですが、それ以上に今の法人が向かっている「Universal culture[誰もが違いを理解し機能させ合う文化]を創る」というコンセプトでこれからも前進し、一人でも多くの人が「自分の人生も色々あったけどアリだな」や「自分にイイね」と感じられる社会創りを、益々狙っていこうと思えた1日でした。
満足度の高い、良い1日だったー!!
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この記事を書いた人
岸田 耕二
社会福祉法人すいせい 理事長1981年生まれ、鳥取県出身。精神保健福祉士、産業カウンセラー。
2005年から就労移行支援事業所の施設長などを歴任。これまで東京大学プロジェクト参加、厚生労働省関連や神戸市福祉計画などの委員、ひきこもり支援、社会的養護者支援など幅広く活動中。
趣味はサーフィンとサッカー、娘二人のパパ。
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